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2011年9月23日(金)

  ツイッターを始めて以来、この随感録は月1回か2回程度になってきて、それも最近は佐世保の野元浩二氏のレポートがすっかり常連になった感がある。  今回も、今月の初め、9月の3日4日と福岡県の糸島「懐庵」であった「糸島懐庵サファリパーク」の様子を、「火起こし」「竹ボラ」作りの講師として参加して頂いた野元浩二氏の「野元節」レポートでお届けしたい。  また、このイベントに参加された佐世保の井上さゆり女史が、少し違った視点でレポートを書いて下さったので、これも紹介させて頂きたい。  このイベントに関しては、畏友で精神科医の名越康文・名越クリニック院長もメールマガジン『生きるための対話』に載せられているので、御関心のある方はそちらも御購読下さい。

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甲野先生!9月3日、4日の糸島、懐庵の人間サファリパークは、お疲れ様でした!それにしても、ほんと面白かったっすね!
あの空間の、すげえところは、講師陣に限らず、参加者の方々一人一人を含め、一生に一度あえるか!あえないか!っちゅうほどの人達と普通に出会えて語り合ったり遊んだり出来る事でやんすね!
参加するごとに、二まわりは人間が、でかくなる気がしやす!
うんにゃ、実際に世の中の矛盾、腹立たしさと同時に、世の中の妙や面白さに対する視野が、ドカーッと広がりやすし、身体の使い方においても、得るもんがたくさんあって、(あっ、今度、長崎県の大村市に日本初の一般人を対象にした自転車学校が、できるんでやすが、そこの代表者の谷口さんが、甲野先生から自転車に乗った時の身体の使い方を教えていただいた!と大感激してやした!なんでか、あっしも、そこの講師の一人になっちまったんで、よろしゅう頼んますわい!ちなみに9月29日が、開校日でがす!縁が、あったら、そのうち、そこにも遊びに来てくだせえ!)ほんとに、二まわりは、でかくなりやす!ただし、平尾さんと溝ちゃんの料理が、美味すぎるんで腹が二まわり、でかくならんよう、気をつけにゃーですね(笑)!
そいから、ノーテンキな、あっしですが今回、関根のアニキからちょっとばかり厳しいことを言われやした!
…火起こしは、成功と失敗がはっきりしてるから、岩城先生や俺の方針は、「できなかった」という参加者を絶対に1人も出さないこと。子どもは特にできないと心に傷を負う。だから、「失敗してもいいから体験させてあげたい」なんていうのは無責任なエゴで、自分に実力がなかったり準備や時間が不足している場合は、やらない方がまし、というのが、岩城流、関根流のやりかた。…伝々と!しかし、アニキは、こう言いつつ、あっしの事を心配して、上質の火キリギネ(棒)や資料を送ってくれやした!その心使いに、あっしは、若くして死んじまった、実のアニキを思い出して、胸にググッ!と来やしたよ!加納親分に関根のアニキに金尾住職は、ほんとの兄弟でやんす!もっとも、あっしが、こんだけ、すげえ人達と兄弟だってのも、めちゃくちゃ、おこがましい話やし、よか迷惑でしょーが、そうなっちまったんだから、しょーがねえ(笑)!
おっと話を元に戻せば、佐世保でも市の主催で火起こし体験教室ってのが、あったらしいんすが、誰一人、火を起こせず、みんな、シラーッとなって帰ったそうでやんす!
あっし一人でやってんならともかく、糸島で、そんなことになったら甲野先生やアニキや大塚さんの顔に泥を塗ることになっちまう!アホ面とは、うらはらに必死でやんした!岩城流、関根流火起こしは、古代の人々の知恵の結晶であると同時に、これぞ科学でやんす!それも頭でっかちの屁理屈科学では無く、身体感覚の伴う、血のかよった本物の科学でがす!(科学の発達により原発事故や放射性廃棄物処理問題や大規模な環境破壊なんかが、起こっちまったのも、そこに血のかよった身体感覚が、無かったからでやんすよ!自然は、自分の身体の一部だ!っちゅうのに、このバカ者どもは、いつになったら気付くんでやんしょかね?ったく(怒)!)火キリギネや火キリ板や他の用具の材質、寸法、形状、採取時期、火を起こす時の気温、湿度、身体の姿勢、回すスピードと圧力の加減具合、そいから、サバイバルって時に好条件が揃うわけ無いので、その場合の対処法、などなど、膨大なノウハウがあり、ぽっと出のあっしなんぞ、5パーセントもマスターしてやせんよ!もっと、もっと目利きが、出来るようにならんと!
火起こしは、そのノウハウが、わからんとどんだけ難しいかは、よくサバイバル○○…なんとかっちゅう、テレビ番組で芸能人の方々が、山奥や無人島で火起こしに挑戦してやすが、スタッフも、やり方を知らんので、火が起きるまで、まる一日や二日かかってることでもわかりやすが、あっしは、その難しさを集まった人達に、わかってもらうために、みんなの前で電気ドリルにムクの丸棒を着けてフル回転させ、杉板に押し当てやした!
豪快に煙は出るんすが、先っぽが鉛筆みたいに尖り、板を突き抜けても、火は着きやせん!理由は、ムクの丸棒の場合、円の外周は、高速で移動しているのに、円の中心に近いほど移動距離が、少なくなるために外周ほど削られ、最終的には、鉛筆状に尖り、板を突き抜けちまうんでやんすね!(ここらへんの説明は、天才数学者モリッチに説明してもらうと、解りやすく言えるとでしょが!)それと摩擦熱で生じた熱で、せっかく加熱された木の粉が、周りに飛びっ散ってしまうんで、蓄熱出来ずに発火できないんでやんすね!そいやもんだからヒキリギネは、ウツギやアジサイなどの中空の枝を使い、火キリ板(杉や檜が良くてラワンは、ダメみたいっす!)には、V字形の切り込みを入れるわけでやんすが、(しかも、その角度は、60度から90度の間!)これを琵琶湖でアニキから直接聞いた時は、本物の科学の粋に目からボロッとウロコが、落ちると同時に、先人の知恵に感激しちまって、頭の毛が逆立ち、全身の毛穴が開くのが、ハッキリわかりやしたもん!おっと脱線!とにかく、火起こしの難しさを、理解してもらった上で、みなさんにヒモギリ式の火起こしに挑戦してもらいやした!このヒモギリ式の道具にも、たくさんのノウハウが有り、アニキから、譲ってもらった道具を参考に、あっしなりの工夫を加え、5セット作って来たんで、二人か三人で一組になってもらい、名越先生はじめ各先生も注目してる中、台風の影響で湿度が高く、はたして火が着くのか?ドキドキしまくりでした!
「よかですかーっ!最初は、慌てず、ゆっくりーっ!木が、削れ、キュルキュル!と音が、しだし、その音が、シュッ、シュッ!って音に変わったら十秒間だけは、北斗の拳の拳四郎のごとく、アタタタッ!で行きまっせーっ!それを逆にすると、へばりますばーい!」などと叫んでました!
結果は!ウォーッ!雄叫びじやーっ!
挑戦した人みんなが大成功ーっ!
火種を麻ヒモから作ったワタに(これを作る時に、どこの馬の骨かわからんような、あっしに、トーク出番前に懐庵でくつろいでいた、池上先生や鈴木先生も快く手伝ってくれやした!やっぱ、甲野先生の近くの人は、人間の器のでかさが、ちがうわな!)包みこみ、ゆっくり、大きく回して、炎が、あがる度にワアーッ!と大歓声と拍手!盛り上がる!盛り上がる!尊敬する名越先生が、「素晴らしい!素晴らしい!」と言っておられるのを聞いて、めちゃくちゃ嬉しかったっす!
竹ボラも大盛況ーっ!(こっちの作り方や鳴らし方の説明は、八月の随感録に載ってやすんで省略しやすが!)ところで、この竹ボラっすが、新潮社の足立女史の凄さと素晴らしさが、よーくわかりやしたよ!
最初、足立さんが、誰なんて知る由も無く、竹ボラに、すごく興味を持っている、女の人が居たんで、作り方から教えて、次に鳴らしてもらったんすが、中々鳴らせずにプープーと屁みたいな音だけが!見かねて、名越先生と(名越先生ときたら、いきなり竹ボラ鳴らせたんで、びっくらこいたがなーっ!あっしが、「名越先生ーっ!なんか吹管楽器ば、したことあるでしょーがーっ?」と聞いたら、トランペットやってたらしいっす、いやはや、なんでもこなす人でんなーっ!)あっしで、「リラックスして唇を当ててブーッと震わせて、…!」、あーだ、こーだ!と説明するんすが、それでも、なかなか鳴らなくて!しかし、あまりにも熱心に一生懸命にやるんで、こっちにも火が着きやして「よっしゃあーっ!こうなったら、おめえさんを甲野一家の戦闘員に仕立てたるわい!」などと偉そうに言って特訓してたら、ちょっとだけ鳴ったんすよ!自分が、初めて鳴らした時より嬉しくてですねーっ!名越先生と「やったーっ!鳴ったーっ!」と叫んでやした!しかし、後で正体が、わかって、びっくり!なんと、甲野先生が、「足立の前に足立無く!足立の後に足立無し!」と大絶賛していた、新潮社の足立さんだったとは!あっしは、ヒェーッ!なんて失礼な事を言ってたんだと冷や汗が、タラーッ!と同時に養老先生と甲野先生が、足立さんに絶対的な信頼と好意をいだいている理由が、よーく解りやした!一緒にいるだけで、こっちのやる気が、ゴゴゴゴッ!と湧き出て来るんでがすね!
桜井会長の雀鬼効果と同じ足立効果でやんすね!
あれから、あっしも、足立さんとは、すっかり仲良くなっちまって、今もアホなメールのやり取りをしていやす!おっと、また脱線!
それやらなんやらで嬉しくて真っ先にアニキにメールしたら「のもっちゃん、おめでとう!〜伝々!」と返信が!アニキから見捨てられんで済んだーっ!とホッと胸を撫で下ろした次第!

それから、もう一つの使命、甲野先生が、カールソン女史と共に、最も尊敬する女性、宮城の佐藤円さんから託された「みんなの放射線測定室」を作ります!って、パンフレットと意志も、みなさんに、伝えやした!果たしてうまく伝わったのか?すぐに効果が、出るのか?は、わからんですが「会社でコピーして取引先に置いて来てます!」とか、「喫茶店にコピーを置いてきました。私自身も、お手伝いしたいです」とかのメールが、来やした!無駄では、無かった!あっしもなんかせにゃあ!と思ってんですが、娘達にスネかじられちまって!でも、なんかせにゃ!
そいから、前から懐庵で顔なじみで、山ちゃーん!とか、小石く〜ん!なんて気楽に呼んでいた山縣先生や小石先生が、実は、ファッション業界やアパレル業界などで、カリスマ的な存在だったとは!二日目の昼間、懐庵で行われたファッション業界の授業を最初、面白半分で、見ていたら、いつもとは、別人の近寄りがたいオーラを発する先生と自分の作品を発表する時に感極まり泣き出す人もいる、若い女性生徒達の真剣さと、一見華やかな世界のファッション業界やアパレル業界の弱肉強食の世界の話には、度肝を抜かれやした!伊達や酔狂じゃできねえ、すげえ世界です!いやはや、ほんとすげえ!
そいから、養老先生、甲野先生のファンで、懐庵に、お忍びで来た、椎名林檎さんやバックダンサーやスタイリストの方々が、見た目は、奇抜な恰好してるんすが、話したら、表面だけで無く内面からも、ものすごく感じが良くて、その証拠に初対面の人には、警戒するシローさん家のワンちゃん達が、尻尾を振りまくって喜んでいて、シローさん、妬きモチ焼いてましたもん(笑)!
養老先生の存在感や養老先生が、近くに居るだけで生じる巨大な安心感、それに学生の頃、警察の看板を持って来て、割って風呂の焚きもんにした話とか、面白すぎる!いやーっ、また、おあいしたいっす!今回、世界一のミツバチ博士の久志富士男先生も来ていて、養老先生と昆虫について、話をしたかったみたいっすが、時間が無くて実現しませんでした!お二人は、同世代やし、昆虫好きやし、絶対話が、合いまっせーっ!是非、対談していただきたいっす!
名越先生は、あんだけテレビに出て有名になっても、いばらんし、心理学やら、なんやら、話は、面白かし、ためになるし!ほんま最高ーっ!
そいから、めちゃくちゃ世話になった懐庵オーナーのシローさんの底の知れない話や、京都から来た、女性神主さんの面白い話とか、まだまだ話は、無限に尽きやせんが、あっしは、ほとんど外で作業してて、トークや講習内容は、聞けなかったもんで、後は武術仲間の美人通訳、井上さゆりさんにバトンタッチ!
アホ野元!

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二日間の日程で行われる「糸島サファリパーク」の初日9月3日土曜日、この日を心待ちにしていた私と、高校3年生の娘、詠美は、台風12号接近の影響でどんよりした空を眺めながら、サファリの野外活動、薪割や火おこしができるのか心配していた。けれども、会場の緑に囲まれた数学道場「懐庵」に到着する頃には、不思議なことに天気が落ち着いている。この企画を心持にしていた、たくさんの関係者の強い思いが、台風にさえ遠慮をさせたのだと思う。開始の時間、懐庵を立ち上げた森田真生氏から、今回の企画の説明と研究者の紹介がある。各分野の第一人者達。よくこれだけの人材が集まったものだ。参加者は分野を問わず、自分の興味のあるところへ行って、話を聞いたり、質問したり、あるいは体を動かしたりと自由に行き来できる。開かれた学問と空間での自由な学び。
それがサファリの趣旨のようだ。早速、人工生命分野を国際的にリードする池上高志氏、電子貨幣・地域通貨、複雑系の理論認知科学などを研究される鈴木健氏による「自然計算」トークが森田氏の司会で始まる。が、オーマイガッ!私には理解が曖昧な言葉が次々に出てくる。人工知能、複雑系、並列計算、トポス、カオス、クオリア、チューリングマシン、揺らぎetc...お二人による説明でなんとか話を繋ぎ合わせ、おおざっぱな解釈をしながら必死についていく。序盤から頭の回転数は自己マックスに近い。小一時間ほどねばった頃、ガタンッ、プシュゥゥ〜。頭脳回路のヒューズが飛ぶ前にブレーカーが落ちた。頭を冷やそうと外に出る。そこではナイスなタイミングで火おこし体験が始まろうとしている。私達母娘にこの企画の事を教えてくれた、佐世保の野生児、野元浩二氏より「YAWARA」や「20世紀少年」で有名な浦沢直樹先生の「マスターキートン」のモデルと噂される関根秀樹先生から直伝されたとゆう、火おこしの方法を学ぶことにする。火おこしにもちゃんと原理がある。それを知らずしてどんなに体を張って頑張っても、無駄に時間だけが過ぎていく。詳しい説明に、なるほどぉ〜これに気づいた人はすごいね!と感心しながら、実際にペアを組んで火をおこすことに。最初コツを掴むまでは多少あーだ、こーだやったものの、あっという間に慣れて上手くなる。数回のトライで、ものの1〜2分でできるようになった。ボッと火がつく瞬間は感動の声が上がる。みんな、肩書きや年齢に関係なく、子供のように夢中になっている。火おこしと同時進行で、横の方では古武術研究家、甲野善紀氏指導のもと、薪割体験が行われている。そうそう、私には薪割は外せない必修科目。ウチでは冬の暖を薪ストーブでとっているからだ。今度はそちらに移って、機能的で身体に無理のない薪割を学ぶことにする。参加者が交代で実際に挑戦するが、なかなか思うようにいかない。甲野氏はさも簡単にやってのけられるが、見るのと、やるのでは大違いだ。助言を頂きながら、私もチャレンジ。はぁ〜頭でわかったつもりになっても、身体はわかってないなぁ〜練習が必要だと痛感する。頭と身体でインプット、アウトプットを繰り返しながら習得?あれ?なんかこんな話がさっきの「自然計算」のところでもなかったっけ??などと考えながら、次の参加者と交代する。気づけば先ほどから、懐庵の周りでは竹ボラの音が鳴り響いている。みんな上手に火おこしができるようになって、野元氏は次に竹ボラづくりの指導にあたっている。法螺貝に似て、太く震える音がする竹ボラは、音を出すのにコツがいる。吹き口に当てた唇が、ブブブゥーっと振動するように吹くのだ。練習すると、ああーココね!と、きれいに響いてしっくりくる音がみつかる。単純な構造ながら、本能が目覚めるような、脳までも共振をおこしているような、気持ちいい感じになる。これもある種の"揺らぎ"?またしても「自然計算」トークにこじつけてみる。そうこうするうちに、懐庵の中では、言語学を研究される宇野良子氏、精神科医の名越康文氏による公開研究が始まっている。ここはサファリだ。あちこちに「見たい!」が散らばっている。欲張りな私は全部に参加しようとチャッチャカと移動していく。宇野氏の柔らかな語り口と、名越氏のテンポいい相槌やリアクションで、場はすっかり和んでいる。話はどんどん広がり、言語と記憶の関係、言語による共通理解、言葉の音への共通認識など、普段私達が意識しないにもかかわらず、思想に大きく作用する「言葉」についてたくさんの気づきがあった。やがて話は仏教や冥想法などにも及んでいく。この辺で、もともとのテーマである「マントラ共同研究の方向性」まで伸びていくかと思いきや、そっちには行かない。でも、その偶発的なトークはサファリパークの自由な空気にマッチして純粋におもしろいのだ。
やがて外はすっかり日が暮れ、おなかもペコペコに。一同、徒歩数分のご近所の民家に場所を移動して、懇親会が始まる。みんな思い思いの場所で、思い思いの人と、会話や食事を楽しんでいる。研究者のみなさんとも、直接身近に話しができる。なんという顔ぶれ、なんて贅沢な時間!刺激や気づき、やる気がゾクゾクと生まれる時間。サファリの醍醐味である。ここで私を改めて感心させるのは、このイベントの企画、運営に関った、スタッフのみなさんの、惜しみない協力や実行力だ。例えば、懇親会の手づくりの料理は感動ものだ。種類は豊富、見た目も美しく、もちろん味もおいしい。料理だけでなく、自宅まで懇親会に提供してくださった、平尾氏とご家族に大感謝である。それに、一番はじめ、懐庵の実現に欠かせなかった、「山」を提供してくださった飯野氏。サファリ開催中は、懐庵横の自宅や庭も大解放で私達を受け入れてくれて下さった。ひと時ゆっくりしたい人には、さりげなく美味しいコーヒーを淹れて勧めてくださるというお心遣いもあった。それから、主催者のセイントクロスの大塚氏、よくぞこれだけの人間を集め、盛りだくさんのイベントを実現に持っていって下さった。他にもたくさんの人に支えられての開催だったと思う。本当に感謝である。だけど、よくよく考えると、どうしてこうも上手い具合に人や環境が揃うのだろう?きっと、強い気持ちと、行動力をもって動き出すと、周りもそれに影響を受けて連鎖反応が起きるからだと思う。懐庵は、森田氏が始めの一歩を踏み出した事で共鳴した人たちが集まって、環境がついてきたのだろう。「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃソンソン!」そう、眺めるだけより、考えるだけより、実際に自分でやった方が人生は断然面白い!今日ここに集った人たちはみんな、「踊る阿呆」だな。初日のサファリパークを終え、私はそんな事を想っている。踊る阿呆の為の踊り場が、近所にあったらどんなにいいだろう。日本中、世界中のいたるところに、分野の垣根を越えて、本質的な問いに真剣に向かい合える、開かれた教育の場があるといい。一緒に参加した詠美とそんな話しをしながら、その日は二人とも幸せ気分で眠りについた。
 二日目のサファリにも各地からたくさんの人が集まった。養老孟司氏、甲野善紀氏、森田真生氏による、「これからをどう生きる」をテーマにした熱いトークが始まる。お三方とも分野は違うとはいえ、それぞれの研究を感動を持って深められている点、または専門分野だけでなく、あらゆる分野に興味をもち、真摯に生きておられる点で共通するものがある。テンポよく笑いも交えながら話は進んでいく。これからの生き方を考えるのに関連して出てくる、教育のあり方について、それぞれの具体的なお考えを伺うこともできた。共通して、頭だけでなく、体を使う大切さを強調されている。頭がいいより、丈夫がいい。体を使う人は信頼できる。などの言葉が飛び交う。そうして、2時間の公開トークは、あっという間に過ぎていった。
次はお楽しみの懇親会。今日は野菜カレーを頂きながら、またもや、それぞれ好きなところで、好きな人と会話を楽しむ。私と詠美は養老氏と同じテーブルについて、気になっていたいくつかの質問ができた。養老氏は自然体で皆と食事をし、丁寧に話しをされる。学識や徳行が深まるほど、人は自然体になって謙虚にもなるということを、このサファリの研究者たちには見せて頂いた。参加者の人たちも、ユニークな人ばかりだ。行き当たりばったりに色々な人と話しをする。その度に、みんなよく考えてるなぁ〜かしこーい!おもしろーい!と感動した。そんなワクワクする濃い二日間はあっという間に過ぎていった。
 全ての日程を終えて、エネルギーをいっぱいに蓄えたわたしには、意外な変化があった。これまで全く興味を持っていなかった、というより、毛嫌いしていた人工知能、人工生命という分野にも親近感を抱いているのだ。初日、帰りの移動の車で、研究者の池上氏と隣に乗り合わせた。サファリでのトークでは頭のブレーカーが落ちてしまったが、車の中のゆる〜い会話から、彼や、彼の研究がオドロオドロシイものではないと分かってきた。以前は、人工知能=冷たい/怖い。という偏見を私は持っていた。生命とは何かが知りたければ、命で溢れかえる外に行けばいい。わざわざ人工的につくらなくても。なんて思っていた。けれど今は、そんなアプローチもあるんだぁ。おもしろい!知らなかっただけなんだと素直に思う。私の中に、新しい窓を開けてくれた糸島サファリと参加者のみなさんに心から感謝したい。また遊びに行きます!ありがとう。

 PS.それから!話に夢中になって私たち母娘が乗り遅れたバスを、暗闇の中、忍者を彷彿させるような見事なダッシュで止めて下さった、甲野善紀氏のご子息、甲野陽紀氏にこの場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました!

井上さゆり

以上1日分/掲載日 平成23年9月24日(土)


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